このおれが少額訴訟の原告に

東京簡易裁判所に行って少額訴訟というものを起こしてきましたよ。ある出版社がギャラを払ってくれないので何度も催促したのだが、らちがあかず。担当者はとうの昔に辞め、やりとりをしていた社長も辞め、事務所が移転し、後任も移転先も告げられないまま交渉を打ち切られたので、やむなく会社を訴えることにしたのです。面倒だからそんなことやりたくはなかったのだが、経済的損失が大きいのはもちろんのこと、貧乏人の足元を見るような物言いをされてしまっては黙っているわけにはいかなかったのです。途中までは、過ぎ去ったことに係うよりも新しい仕事に集中しなければ、などと思っていたのだが、先月下旬に先方から届いたメールを見ておれは覚醒したのです。ふとんに入って悶々とするだけのおれとはおさらばです。レベルは全然違うけれども、一人で戦ってJリーグの価値を守った我那覇選手に1ミクロンでも近づかなければならない。明らかに弱い立場に置かれているフリーランスの尊厳を踏みにじるような輩を前にして泣き寝入りするのは、誰のためにもならないことなのです。といいつつも、訴状が届いて担当を押し付けられることになって原告の名前を検索してここにやってきたまだ見ぬどこかの誰かさんにはぜひ伝えておきたい。おれは貴社から依頼されてやった仕事の対価を普通に払ってほしいだけだ。