被告の法人登記簿謄本を取るのにひと苦労

まだどっちにしようかはっきり決めてなかったが、支払督促でも少額裁判でもどっちにしろ必要となる、相手の会社の登記簿謄本を取りに、春日町の東京法務局練馬出張所へ。前にマイ狭小住宅建設のために何度か行ったことがある場所だ。法人名と住所がわかれば手数料700円で取れると簡裁での相談時に聞いていたので、割と気楽に自転車こいで15分。
窓口に行って法人登記の謄本を取りたいのですがというと、用紙に記入して提出せよとのこと。相手出版社のサイトの会社案内ページをiPhoneに表示させて、必要事項を書いて係の人に提出。しばらく待っていると、名前を呼ばれた。いそいそと財布を取り出したが、係の人が困った顔。おれが記入した新宿区の住所では該当する会社がないという。○○○出版じゃなくて○○○経営出版ならあるんですけど、という。なぬ? 
基本的に東京都内で登記したものはどの出張所でも取れることになっているが、コンピュータ化するより前に登記した情報については、管轄の出張所でないと入手できないとのこと。新宿出張所に行けばもしかしたら該当する会社があるかもしれないのでそうしてみては、と係の人はいう。いや、しかし、被告の会社は1979年設立のはずで、それほど昔ではないのだが…。もしかしておれが訴えるのを察知して何か手を打ったのか? いや、そんなことはないはずだが…。
いずれにしても、登記住所がわからないと登記簿は取れない。とりあえず家に戻って対策を練ることにして、自転車で来た道を引き返した。出ばなをくじかれた感じ。。。冷静に考えれば、現行の住所と登記時の住所が違うのはよくあること。というか、むしろそれが同じままなのが珍しいくらいなわけだが、このとき感じたのは相手への不信感のみ。なにくそと思う気持ちがいや増す帰り道だった。
とりあえず面倒だけど新宿出張所に行くしかないかなと考えていたが、ふと思った。前社長のメールによれば、○○○出版は社長が替わって事務所もすでに引っ越ししたはず。新住所がわかれば何かヒントがつかめるのでは? しかし○○○出版のサイトには新住所は載っていないので電話して聞くしかない。でもおれが電話したとわかると、訴訟の準備をしているのがバレるのではないか。公衆電話からかければ番号はわれないが、前に会ったことがある事務の人が出たらもしかしたら声でバレるかも。。。
ということで、先輩に頼んで、サイトに載っている番号に電話してもらった。自費出版を考えている一般人がサイトを見て電話で問い合わせしたという体で、引っ越し先を聞き出してもらおうと。しかし、結局わからず。いまは新しい体制に移っている最中で、自費出版業務は休止している、2〜3ヵ月したらサイトに今後の体制などを公表するのでそれまで待ってほしいと言われたそう。
新住所を聞き出すことはできなかったが、ネット誌にいたこの先輩がいうことには、「住所はドメイン検索でわかるんじゃない?」。ウェブサイトのURLを入れればそのドメインを登録している会社の情報がある程度わかるという。ほう、知らなかった。早速「ドメイン検索」で検索したら、その手のサイトがたくさんひっかかった。○○○出版のサイトURLをコピペして調べてみたら、、、一発で出てきた!

Registrant Name: xxxxxxxx xxxxxxxxx
Registrant Organization: xxxxxx Publishing
Registrant Street1: x-x-xx xxxxxxxxx
Registrant Street2: xxx xxxxx xxxxxxxxxbiru xF
Registrant City: Chiyoda-ku
Registrant State: Tokyo
Registrant Postal Code: 1xx-xxxx
Registrant Country: JP
Registrant Phone: 03-xxxx-xxxx
Registrant Fax: 03-xxxx-xxxx
Registrant Email: info@xxxxxx-xxx.com

住所と電話番号とFAX番号と、登録者(代表者)の名前までわかった。名前は前社長のものではないので、明らかにこの人が新社長。そして千代田区のこの住所が新しい引っ越し先の住所だ。8月15日で代表を降り、8月末で事務所を移転すると前社長はメールに書いていたが、ドメイン登録は迅速に変更していたようだ。
ここで気づいた。これはもしかして、会社を身売りしたということか。。試しに新社長の名前と新住所を検索してみて、○○○出版を買い取ったのがある資格系の学校をやっている会社であることが判明。新社長はいろいろとその資格関係の著書を書いている人であることも判明。会社のサイトも判明し、系列のサイトには社長の顔写真も載っていた。けっこうちゃんとした会社でちゃんとした人のような印象を受けた。
で、わかった。○○○出版というのは、実態は別として、名前だけ聞くとなんだかけっこう由緒正しい感じがする。この新社長は資格の教材本などをこの聞こえのいい名前を使って出版していくために買い取ったのだな。前社長がおれとの交渉を勝手に打ち切ろうとしたのは、トラブルを新経営陣に知らせたくなかったからだ。そんな債務があることは闇に葬って自分は引退して余生をのんびり暮らしていくつもりか。。南国リゾートに寝そべる太った腹黒中年男性の姿が目に浮かび、それを破壊しなければいけないという思いが沸々とわきあがった。
しかし、現住所がわかっただけでは登記簿は取れない。あくまで登記住所がわからなければ登記簿は取れず、従って少額訴訟も支払督促もできない。この新住所まで行って、あるいは新電話番号にかけて交渉しようかとも思ったが、それはなんとなく癪な気がした。きっと新経営陣はまともなビジネスマンだろうからきちんと話をすればそれなりの対応をしてくるかもしれない、とも思った。しかしそれでは南国リゾートに寝そべる前社長にダメージを与えることはできないし、手だれの法務担当が出てきてなあなあな線で手を打とうとしてくるかもしれない。こちらが本気であることを見せるにはやはり法的な手段をとるべきだ!
などと思いながらウェブ検索を続けていたら、あるサイトにたどりついた。登記情報提供サービス。ネット上で法人登記情報を閲覧できる有料サービス、と説明されている。なんとなく見た目がいんちきくさいなと思ったが、会員登録して、確認メールを受領して、ログインして○○○出版をサイトに出ている住所の新宿区で検索してみたがやはりひっからない。○○○経営種パンしかひっかからない。次に新住所の千代田区で検索してみた。そしたら、、、ビンゴ! あった! 397円払えば登記簿に載っているのと同じ情報がPDFでダウンロードできると知り、クレジットカード番号を入力。PDFを入手した。そしてPDFを開いてみたら、「本店住所」の欄には、千代田区の新住所がそのまま記載されていた。なるほど。会社によっては体制が変わっても登記簿をすぐには更新しない場合もあると聞いていたが、新社長は迅速に登記も更新していたのだ(8月17日付け)。これだけでも新体制がまともであることは想像できる。しかしいいかげんな旧体制の所業を知らないままで買い取った責任はやはりあるのだ。
自分の中ではちょっとドラクエ的なステップを経て登記住所をゲットし、意気揚々と本日2度目の法務局詣で。さっき一度提出して返された申請用紙に新しくゲットした住所を記入して再提出。5分後には無事に登記簿謄本を受領。これでやっと訴状を提出するための書類が一つ揃ったわけだ。