『争うは本意ならねど』にやられた

遅きに失するけど、『争うは本意ならねど』を読んだ。内心、なんかタイトルがかっこよすぎじゃないのーと思っていたんだけど、読んでみたらまったくそのとおりの内容で。。。Jリーグ(のクラブ)を応援しているすべての人が読むべき本だった! 読んでよかった!
那覇のことは、ニュースで見てなんとなくは知っていたけど、つまりはなんとなくしか知らなかった。疲労回復のために栄養成分を注射したらドーピング検査にひっかかってペナルティを受けた、という程度のイメージしかなかった。意図的ではないにしても違反薬物を入れちゃったんだったら、さっさと過失と認めちゃって早くサッカーに打ち込めばいいのに、ぐらいの感想しか持っていなかった。
だけど、この本を読んだら、そのイメージは全然事実と違うものだった。我那覇は違反薬物なんかとはどう見ても無関係で、正当なクラブドクターから正当な医療行為を受けただけなのに、Jリーグのドーピング監視組織がおかしな判断を譲らなかったために、まったくの冤罪で処分を受けていたとは……知らなくて申し訳なくてたまきんがじんじん。
この本では、我那覇と我那覇を支える仲間たちが冤罪を明らかにしていくまでの様子が丹念に書かれているんだけど、読んでて、これはまるでONE PIECEみたいだぞ、と思った。仲間のために最後まであきらめずに動いて、Jリーグという大組織に真っ向から立ち向かって、実際に冤罪を晴らしちゃう。……すばらしい。我那覇もドクターたちもJリーガー出身の議員も川崎サポーターも郷土の先輩も、ルフィみたいに特殊能力を持っているわけじゃないけど、悪魔の実なんか食べなくたってこんなにやれてるっていうのが、募金にたしかケチって10円玉1枚しか入れなかった気がするおれからみると、なんともまぶしかった。まぶしすぎた。
ストーリーとして見ると、敵キャラ(ドーピングコントロール委員会の長)がなかなか手強いのがすごく効いている。ドクターたちのほうが正しいのは明らかなのに、議論の矛先をすっすっと変えてかわし、最後までしらを切り通そうとする往生際の悪さが特筆もの。その能力を他で使ってくれていたらすごくサッカーのためになっただろうに(仮定法過去完了)。
那覇とその仲間たちはJリーグと戦うことでJリーグを守ったのだ、というのは、まさしくその通りだ! ただ、そうやってがんばる人がいないと守れなかったであろうJリーグがちょっとというか大いに不安になるのも事実だけど。。。「Jリーグの歴史を動かした○人」みたいな企画をやるなら、我那覇は当然そこに入っていないとおかしい男だということが胸に染みわたる感じの一冊。

そういえば、東京オフィシャルを見てたら、青赤戦士の日記で丸山がこの本のことを書いていたよ。見る目があるぜ若者! http://www.fctokyo.co.jp/blog/index.html?d=20120407