「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」

可憐な冨浦君が「Mr.セーラー服」の称号を手にしたメモリアルな一作!

●発売/ギャガ・コミュニケーションズ●110分●監督/塚本連平●出演/市原隼人佐々木蔵之介麻生久美子石田卓也賀来賢人脇知弘

 「ぼくちゅう」の愛称で大人気を博したブログ小説の映画版だ。
 ときは1979年。江川と小林のトレードがあった年。喫茶店スペースインベーダーができた頃。携帯電話など存在せず、好きな子に電話すると家族が出ちゃって慌ててガチャ切りしていた、牧歌的でアナログな時代。
 登場人物は田舎の高校生男子たち。主人公は、しょうもないいたずらを思いつくのが得意な「ママチャリ」(市原)。エロ好きの不良、大家族育ちの不良、医者の息子のボンボン、肉屋の息子のデブ、同級だけど一留で年上で免許所有者といった仲間とともに、日々いたずら活動に青春を燃やしていたが、そこに新しい駐在(佐々木)がやってきた。この駐在が、高校生のいたずらにいちいち真っ向から立ち向かい、容赦なく仕返しをする大人げない男だったから、さぁ大変。高校生vs駐在の絶対に負けられない戦いが始まり…。
 戦いは期待通りの面白さだが、それよりなにより、ジェミー(冨浦智嗣)が最高だ。ママチャリより一歳年下で小柄で中性的な少年。本作のメインエピソードである感動の「花火盗人」作戦のため、セーラー服で女装するのだが、この女装が出色の出来! 筆者はノーマルな性癖の持ち主として生きてきたが、考え直すときが到来した。かわいい。かわいすぎる。駐在の妻のマドンナ(麻生)よりも、ママチャリに好意を寄せるボインな同級生(倉科かな)よりも、もちろん、「狼なんて怖くない」にのって登場するママチャリの母(石野真子)よりもね。
 そりゃ、セーラー服の裾がめくれて見えるウェストは細くない。花火玉をブラに隠すときに見える胸元に膨らみなんてない。でも、その表情に、その佇まいに、そんじょそこらの女なんかとは比較にならない可憐さが横溢しているんだ。ジェミーとなら、見たこともない異次元にだって行けそうな気がするんだ。(高)

私的オススメ度 ☆☆☆☆☆
アグネスラム、ロードマン、ウォークマン…昔の憧れが頻出。
▲冨浦君は「わたしたちの教科書」でも好演済!
▲冨浦君は愛称「しーちゃん」。「金八7」出身!
▲冨浦君は映画版「東京タワー」や「花より男子F」でも大活躍!

Pick Up Actor
市原隼人
冨浦君も憧れている、柴犬みたいなイッチー
岩井俊二の「リリィ・シュシュのすべて」で映画主演デビュー。冨浦君の事務所の先輩で、「小さいときから市原君のことが好きだった」と冨浦君から言われた果報者。本作ではにやけすぎな感もあるが、基本的には柴犬みたい。

ぼくたちと駐在さんの700日戦争 コレクターズ・エディション〈2枚組〉 [DVD]

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