「東京オンリーピック」TOKYO ONLY PICTURES 2008.

参加することに意義がある新スポーツ競技会
 不朽の名作「スキージャンプ・ペア」を手がけた真島理一郎北京オリンピックの年に仕掛けた待望の最新作。「オンリーピック」とは、「唯一無二の(only)」スポーツ競技大会の「映像」(picture)のこと。
 ブランコで靴を飛ばす距離を競う「ブランカー」、一般家庭が舞台の障害物レース「ホームアスロン」、いかにかっこよく「サムライ」と叫べるかを競う「サムライコール」などナンバーワンよりオンリーワンを志向する15種の新スポーツ競技が、北京五輪と同じ期間に、東京五輪より一足先に、東京でめでたく開催されるのだ。
 「スキージャンプ・ペア」のときと違うのは、各界で活躍するクリエイターが各々の競技映像を作って参加するオムニバス形式であること。『新しい単位』の五月女ケイ子細川徹カンヌ映画祭ヤング批評家賞受賞の中野裕之、日清カップヌードルCM「FREEDOM」の神風動画といった面々が集結。表現方法も、CG、実写、アニメ、イラスト、ドラマと、多種多様な映像となっている。
 だが、雑多な分、「スキージャンプ・ペア」でおれを感嘆させたあのテイストが薄れた感は否めない。「開会式」「閉会式」「男子親離れ決勝」などの真島・国際オンリーピック委員会会長担当部分と、他のクリエイターの担当部分とでは、オリンピックというフォーマットへの乗っかり方が結構違う。まじめな顔して裏で舌を出す感じが欲しいのに、気負いのせいか、各クリエイターの衒いが表に出た競技が多いような…。
 とはいえ、パペットアニメの澤田裕太郎と会長が組んだ「男子ヒューマニズム決勝」のように、異なる才能が出会って新しい「想造」につながった例もある。緻密な造形と破壊的で投げやりなラストに行き着く意外性は、全競技を比較して金メダル級。とすると、各クリエイターが会長と組むコラボ形式でやってくれていたら…と、欲張りな観客としては思ってしまうのだ。
 ジャンプのときよりときめきが小さいのは、実写競技が多いせいかも。「めちゃイケ」の「シンクロナイズドテイスティング」とか、奇しくも「ブランカー」とかぶる「リンカーン」のブランコ靴飛ばし競争とか、スポーツ競技のパロディは実写バラエティではそれほど珍しくない。次回のオンリーピックにはCG重視を期待。(高)

▲公式テーマソングを歌うしょこたんは、茂木淳一が司会を務める大会ハイライト番組にもゲスト出演。