今年度最大かつ最良の奇書『歴史Web』

いやー、奇書ばかりやってるおれがいうのもなんなんですがw、こりゃまたすごい奇書が出たもんです。その名も『歴史Web』。

歴史Web―日本史の重大事件がホームページになった!

歴史Web―日本史の重大事件がホームページになった!

あの名著『歴史新聞』の日本文芸社が、「新聞」の部分を「Web」に勇ましく果敢に置き換えてきました。つまり、じつはずっと昔からインターネットは存在していて、歴史上の人物や組織がそれぞれホームページやブログを運営していて、それらは現在のネット上には残ってないんだけど、その貴重なキャッシュを発見したので、本にばばーんと復元して見せてあげましたよ、という完全にイっちゃってる設定。
前から話には聞いていて、そりゃおもしろそうだわい、と思ってたけど、実際見るとやっぱスゲー! ブログ、アマゾン、ヤフー、ヤフオク2ちゃんねるまとめサイト、Not Foundのページ、自動翻訳サイト、価格.comなどなど、ネットでよく見かけるサービスをけれんみたっぷりに歴史にあてはめていて……楽しい! 邪馬台国公式本家頁のトップには「吉報!魏志に紹介されます!」と誇らしげに記されているし、竪穴式住居で暮らす主婦のブログタイトルは「ドキドキ私の土器これくしょん」だし、飛鳥時代の弐ちゃんねるでは「大化の改新キター!」スレが盛り上がってるし、うぃにぃで鉄砲製造法が流出したのを謝罪するページもあるし、綱吉のブログは愛犬コレクションだし……。もうやり放題! いやー、これ作るの楽しかっただろうな〜。
歴史と新聞の組み合わせもよかったけど、ネットと歴史もこんなに相性がいいとは思わなかった。特に、2ちゃんの速報スレッドとの相性は抜群だ…。
ファーストインプレッショインでは、ちょっと紙が厚すぎないかーと思ったし、どうせやるならHTMLで作ってそれをキャプチャーして載せるべきだったんじゃないの〜、なんかこれだとレイアウトをWeb「風」に見せようとしただけで中途半端じゃん?と思ったんだけど、読み進めるうちにそんなのは単なる傍観者の後だしじゃんけんにすぎないと気づいちゃったよ。じつはこの、Web再現ビジュアルのビミョーな非リアルさかげんこそがヒットを呼ぶのではないかなと。ネット愛好者はそりゃもっとリアルに見せてくれたほうが喜ぶんだろうけど、非リアルにすることで、ネットに疎い層もひっかかるんじゃないかと。
初期には「リンク」が「輪句」だったり「コメント」が「意見」だったりしたのを時代を経るにつれてカタカナを増やすグラデーションがあったり、読み進めてこの世界観に慣れてきたころに突然なじみ深い一休さん画像が出てきたり、定形の「◯◯時代速報」頁を時代ごとに設けて統一感出したり、ページ再現の下のコメントで見どころをフォローしてくれたりと編集技もカンペキ。歴史好きではないおれが見ても楽しかったのだからいわんや歴史好きをや。って感じ。ジェラしさ満点。。。
世界史展開とウェブ展開もぜひ! ウェブ化、めんどくさかったら、紙にしたやつをそのまま載っけて、あとは読者に勝手に作らせるやりかたでいいんじゃないな〜。
と思ったら、こんなのもあったんすな。http://erai.jugem.jp/