『きまぐれな輝き』の鈍色の輝き

『バカ脳トレーニングDS』のカバーや『あやまる岬』の挿絵や『スパニッシュQ』シリーズのキャラ&トビラ絵などでお世話になっている川崎タカオ先生の単行本『きまぐれな輝き』(青林工藝舍)を読んだんだけど……これが素晴らしい出来! 実はおれは、処女作品集『へたれチキン』にはそれほど強い印象は受けてなかった。やっぱ川崎さんは塗り塗りの濃厚絵のほうが好きだな〜と思ってた。マンガよりイラストの方がイイと思ってた。でも『きまぐれな輝き』を読んでみて、この人はイラストよりマンガの人なんじゃないかと思った。思っちゃった! ま、おれの場合、ストーリーものは『火の鳥』、ギャグなら『すすめ!パイレーツ』を超えるものはないと小学6年生時に早合点して以降はマンガを読まなくなったという低能人間であり、物心ついたいまもマンガと積極的に接していない、という事情を抜きにしては語れないとはいうものの、この『きまぐれな輝き』の鈍色の輝きにはさすがに気づいたね。気づいちゃったね! 少ないマンガ読書歴の中で探すなら『かっこいいスキヤキ』の正統的かつ発展的な後継者だと思ったね! 描かれるのは一貫して男の世界。男といっても、漢とか益荒男とか偉丈夫とかの勇まし方面の男ではなく、かっこつけようとして空回りしてその結果滑稽味が残る感じの男の世界。渋さ&滑稽さ? それは、おれの考えでは、どう転んでもかっこよくならない金玉というアイテムを宿した、宿してしまった生き物の本質なのだ。別に金玉の話なんか出てこないけど、川崎タカオは金玉のイデアを描いてるんだと思う。たとえば風呂上がり、全裸&大の字で立つ男の中央できまぐれに上下動する金玉を見るのが好きな人にはバイブルや金玉字塔となるであろう一冊!…ちょっと違うかもしれませんw 収録作の中では、「待ちぼうけ紳士」と「一瞬の潤い」と「AV連続殺人事件」がマイベスト3。「瞳・LOVE・YOU」はちょっとおれには難解キャンディーズでした!

きまぐれな輝き

きまぐれな輝き