ドイツ日記.11

taquai2006-06-22

●6月22日
出発前にはっと思い立って、ゲーフラの裏にもう一枚のメッセージ面を作成。言葉は、「FIFA OFFICIAL SURPRISER JAPAN」。ジーコ監督が言い続けた、ドイツで世界を驚かせよう、という言葉が好きだったので、「FIFA OFFICIAL SUPPLIER」とかけてみた次第。わかりにくかった模様ですがW これで、2002年W杯のときのカーンのポスターをモチーフにした「走れぐず共」とのリバーシブルゲーフラに。


ドルトムント・メンゲデのホテルからドルトムント中央駅へ向かい、そこからヴェストファーレンシュタディオンへ。道中、ブラジル人の二人連れと会話。P1010001アトレチコミネイロのサポで、持参している白黒のユニフォームを見せてくれたので、これはユベントスのユニみたいだ、と言ったら、いや、そうじゃない、ユベントスのユニがミネイロのユニみたいなのだ、と言われたW とってもサポらしい一言W いま日本でプレーしているマルクスミネイロの出身だ、と言ってたけどほんとかな? アマラオもそうだって言ってたような気がするけどw アマはパルメイラスだったはずw ま、似た名前が多いもんね、ブラジルはw 二人連れの若い方はジーコ似で、おじさんのほうは、近くでみると鼻毛の密度と長さがかなり日本人離れしていた(あたりまえ)。May I cut your nose hair?とか言ったらなんていうかな〜と思いつつ、写真を撮ってお別れ。


スタジアムは巨大。おれのチケットは一番の上層階で、そこから見える景色は高層ビルからのそれ。さすがにUEFAが世界の五つ星に選んだスタジアムだ。ファンフェスト周辺ではまったく見向きもされなかったおれのゲーフラだけど、スタジアム周辺ではわりと声をかけられてうれしはずかしの39歳。P1010021試合開始90分前になって、突然、日本の選手を乗せたバスが入場したきたときには、瞬間的に舞い上がって、「加地ー加地ー」と叫びながらゲーフラを掲げてバスに走った。誰か見てくれていたら本望だが。しかし、選手たちって、おれたちより遅くスタジアム入りするんだな。意外や意外。
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試合前のブラジルサポはもちろんお祭り騒ぎ。 バカでかいオーディオセットをひきずっている人もいたりして。それはさすがに持ち込みできないと思うんですけど。


P1010023オーストラリア戦、クロアチア戦と違って、バリバリの日本サポ席。ちなみに、7試合目にしてこれが初めての自分名義のチケットだったw 世界にアピールするラストチャンスということで、先走り液がどくどくとほとばしる感じ。でも、試合前にゲーフラを掲げていたら、後ろの女子から「あのー、一番大事なところが見えないんですけど」と言われて一気にトーンダウン。試合中は下げますよ、そりゃ。Jリーグだったらこんなことはないのにな。。。そういうんだったら絶対おれより大きな声で応援しろよな、と思いつつフラッグを下げて試合開始。
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前半で玉田のシュートが決まったときは、そんなわだかまりも超越して、周りのみんなが一体になって歓喜を共有する実感があった。このまま2-0、もしかすると3-0まで行ったりして、と夢を見ることができた。でも、それはやっぱり一瞬の夢だった…。かるーく追いつかれて前半終了。やばいと思ったので、ハーフタイムには、誰も文句を言わない最上段まで行って、後半開始までゲーフラを掲げた。でも、やっぱりそんなのは伝わらなかった。後半、負けているのに走らないおれたちの代表。点差がついて何も失うものなどないのにただライン際でステイするだけのおれの加地。「おまえらなんて全然侍じゃねーよ!」の声がむなしく響き。。。


試合後、選手たちが引き上げた後も、中田は一人、ピッチに寝転んだまま。スタッフの人が付き添っているが、ずーっと起きる気配なし。途中でブラジルの誰か、たぶんロナウドが近づいてきて何か話しかけたけど、その後も起きる気配なし。あれは、きっとふがいないチームの面々とは一緒にいたくない、という気持ちの表れではないかと思われ。。。最初は他選手と挨拶に来ない中田に対して「中田も寝てねーで来い!」と叫ぶやつもいたが、そのうち一大事なのかも、という心配ムードに変化。最後に起き上がって手をあげたときはヒデコール。


試合後はブラジルの黄色い人たちのパーティがそこかしこで開催され。たまに日本コールもまじえたりするのも嫌み。愛想笑いが得意な日本人も、さすがにこのときばかりは、お願いだから放っておいて、というムード。こんなときでも友好ムードで臨めていた人もいたが、おれはそんな気持ちにはなれず、早足で退散。「サムライブルー」の歌はたぶん今大会で初めて歌ったと思うけど、むしろ「弔いブルー」。


いま思うと、侍と言えたのは中田だけ。その他の選手たちはみな逃げ腰で弱虫で怠慢だった。ブラジルに抜かれるのを恐れて距離をつめずただ深く位置を取るだけのディフェンス。第一選択肢としてパスしか考えていないため、せっかくボールをもらってチャンスになっても、横パスするしかなく、そしてその横パスをかっさらわれてピンチを招き、川口のセーブか相手のシュートミスを祈るだけのオフェンス。ふがいないにもほどがある試合。玉砕覚悟でアタックして結果的に奪われて大差でやられるならまだいい。というかずっといい。日本はただ怖じ気づいていただけ。「サンドニの屈辱」と比べると点数は違うが、あれから何年もたっていることを考えれば、今回の試合は最低のものだと思う。チームの中で何があったのかはわからない。でも、観客席からみていて、チーム内で孤立しているといわれた中田だけが戦っていたように見えた事実は、ぜひほかの代表選手に伝えたいと思う。別に負けたっていいんだ。グループリーグ敗退だっていいんだ。おれは、やられてもやられてもあきらめずに愚直なまでに立ち向かっていくおまえらを見たかった。それをこのぎょろ目に焼き付けるためにドイツまできたんだ。だけど、それは最後まで見せてもらえなかった。おれが見せられたのは、終了時間が近づいてもそれまでと同じように淡々とボールを後ろでまわすおまえらの無惨な姿。あり得ない。宮城のトルコ戦から何も進歩していないことが露呈した瞬間。おれの代表であるおまえらをなじることは、ひるがえって自分自身をなじることだけど、それでもいいからおれはいまおまえらをなじりたい。走れぐず共といまこそ叱咤激励したい。