新しい漢字本が刊行です!
去年から3月までこつこつやっていた単行本の見本が届きました。題して『知ってるようで知らなかった漢字の意味』(二見書房)。
- 作者: 高井ジロル,進藤英幸
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2013/05/24
- メディア: 単行本
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たとえば「愛」。いまではあらゆる人がこの字をLOVEの意味で使っているはずですが、実はこの字はもともとは「こっそり歩く」という意味を持っていた漢字なのです。で、LOVEの意味を表す漢字は別にちゃんとあったんだけど、いつしかその漢字は廃れて使わなくなり、たまたまその字と音が同じだった「愛」字がLOVEの意味で使われるようになって今に至る、というわけ(というか、「愛」がもっぱらLOVEの意味で普及しちゃったもんだから、もとの字は廃れて使われなくなったといったほうが妥当かもしれませんが)。だから、たとえば「愛子」という名前は、「愛らしい子」というよりもむしろ「こっそり歩く子」と解釈したほうが原義には近い。抜き足差し足忍び足で歩く泥棒は実は「愛」の体現者だったともいえるわけです!(って原稿にも書いたはずなんだけどいま見たらなかった……チッ!)
「愛」の意味がこのように変化することを漢字用語で「借用」といいますが、いま我々が使っている漢字には、この「借用」のパターンが非常に多いんですよ。驚くほどに。漢字に特別な意味を見いだしてありがたがりたい気持ちはわかるけど、実際にはこういう、音が同じだったから借用されただけ、という漢字が大多数なのです。つまり、おれの理解が正しいならば、5万字をゆうにこえる漢字宇宙を形成したのはこの「借用」だったといっても過言ではないのであります!
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