「坂の上の雲」に登場した昔の地球儀

NHKのスペシャル大河「坂の上の雲」をみてたら、日清戦争前夜の首相・伊藤博文加藤剛)が自室で地球儀をじっと見つめるシーンがあって、その地球儀がアップになったんだけど、それはまさしく『Globes 地球儀の世界』のhistoricalの章で紹介したモデルでした。日本を代表する渡辺教具製作所がこのドラマのために復刻した特注品。これ、市販すればいいのになあ。ってことで、紹介原稿をコピペしておきますよ。ドラマは、モッくんがふんどし姿で「あぁ、ちんぽがかゆい」と言って水にとびこむシーンが最高でした。大河ってまったく見てないけど、近代だとさすがに興味がわく感じあるなぁ〜。

 1881年にベルギーのブリュッセルで製作されたものの復刻版。GEOGRAPHICAL INSTITUTE OF BRUSSELSとMERZBACH & FALKの名が記されています。こちらもファルクという名前ですが、ファルク地球儀のValkとは綴りが違う別人。ヴィクトリア朝のヨーロッパで一番多く出回った地球儀のレプリカです。
 陸地には国別の色分けがあり、山脈や河川などもわかるように描かれていて、行政型と地勢型の両方の特徴を備えています。見た目には海のブルーグレー色が特徴的で、数本の線で海流も示されています。たとえば、日本の近くには「Ku Ro Sivo」の文字が見えますが、これはもちろん黒潮でしょう。JAPAN SEAも確認できます。
 NIPHONと記された日本列島を見ると、海岸線がまるで花びらのように描かれているのがユニーク。北海道はYESSO(蝦夷)の名で登場しています。地名表記のMatsumaeは松前、Atkesiは厚岸、Hakodadyは函館。東京のあるあたりにはYEDDO(江戸)と書かれています。蝦夷地が北海道と改称されたのは1869年、江戸が東京と改称されたのは1868年のことですが、1881年の時点でもまだ、ヨーロッパにはどうでもいいことだったのでしょうか。
 現在の地球儀でアフリカ大陸を見ると、直線で区切られた国が目につきますが、この地球儀ではまだ直線の国境は見あたりません。民族や宗教や生活領域に関係なく欧州諸国が便宜的に引いた線のせいでその後各地で様々な紛争が起こるのは、残念ながら事実です。