俺過去日記.10 18歳童貞編

どうする。このままつづけるか、明日退部するか、試合が終わってから退部するか。最近の風向きからいくと、このままずっと続けていく気はないらしい。やはり金をつくって何とかしなければだめだ。バイクを買わなければならない。そう思っているならなるべくはやい方がいい。それははっきりしていることだ。長引けば長引くほどその後が苦しい。先輩とすれちがうときの恐怖、それに耐える決心はしたか。昨日は、試合にでてからやめるという考えが強かった。まず新歓コンパで素振りをみせておいてから、と考えていた。女の先輩にうちあけて同情をひいておこうと思った。そうすれば明るくやめられると思った。しかし、15回でてからやめるべきではないか。情けない奴と思われるのはいやだ。練習にちゃんと出て、ランニングでも速く、試合でも勝ち、実力はあるのだがやむをえず退部という形が望ましい。父が事故にでもあったらうまくいく、と思った。ぼくはひどい心をもっているのだ。自分がふっきれるためには親をも殺すということだ。しかしそんなことをしても後悔はくるだろう。それに親が死んだらやっぱり泣くんじゃないだろうか。ぼくはまだ祖父母はみんな健在であるのでわからない。今度はじいちゃんかばあちゃんが死ぬことを思った。今死んだらどうだろうか。ぼくはうまくふっきれるだろうか。孫が幸せになるためなら死んでもいいやと思ってはいないか。こんなこと考えるなんて人非人である。ぼくはよい子だったはずなのだが。いや、昔からぼくは演じることが多かった。朝、まどろんだ状態のとき考えていた。自分は人魚であり、はだかで浜辺にうちあげられ意識を失っている。そこに美しい王子さまが現れる。ぼくは体をくねらせてしなをつくって待っている。幼いぼくにはそれ以上の想像はできなかったが、何かオナニーに似た感情を覚えていたようだ。パンツをぬいで少しひんやりしたタオルケットとじゃれあうのが好きだった。そのときはたいてい体をくねらせて「アーン、あーん」という声をだした。ふとんに入るとキャンディキャンディのアーチーを思い出していた。最近はどうだろう。伊東ひろみさんのことを考えてることが多いかもしれない。今日街中を歩いていた。カップルが多かった。率直にうらやましく思った。太陽がまぶしかった。ひろみちゃんと一緒だったら楽しいだろうと思った。ぼくはいつも学校から帰ってくるとき、好きな女の子が待っていて、「何もいわずに抱いて」という風景を想っていた。学園ドラマにでていたらきっとすごい上手かったろうと思っていた。ついこのごろまではうつぶせになると妙に興奮して眠れなかった。今はねれる。これはうれしいことなのか。最近全然オナニーしていない。あまりイメージがわかない。地下鉄で、この女をぬがしてみようかなと考えてみたが全くやる気がわかなかった。日に日に年をとっていくようである。もうすぐ19である。みんなもう経験済みのようだ。俺はまだだ。教養祭もある。俺は委員だが株を下げてしまった。頼りない男とみなされただろう。実際頼れる奴ではないが、頼れる男を演じるのはかんたんなはずである。とにかく明日は5講まであるから部のことは保留にしておけるのだ。