著作権譲渡ホイホイ

 仕事をさせてもらっている出版社から、契約書が送られてきた。だが、その契約書に非常に気になる条項が。

業務委託を通じて生じた著作権等の知的財産権は、すべて○○に帰属するものとします。
(○○は出版社名)

 誰が好き好んで著作権をホイホイと譲渡するだろうか。いや、別に譲渡してもいいけど、だったら相応の金で買い取ってくれよ、という話。どうやら、前にカメラマンがその媒体に載せた写真をエロ本で勝手に使って問題になったことがあり、そういった好ましくない流用を避けたいという意図だとのこと。しかし、それなら悪質な流用を禁じる条項を設ければいいだけのはず。わざわざ著作権を持ち出す必要はないよ。ぼくちんの著作権を譲渡させる必要はないよ!(>_<)! もちろん、おれの原稿などほぼなんの利益も生み出さないわけで、そんな些細な権利にこだわるのはどうかと思う。また、おれの原稿とはいっても、おれだけの力でできているわけでは毛頭なく、たとえば編集部からふられなければ絶対に存在していなかったわけで、その最終端末的役割であるおれだけがそんな著作権なんて言って権利をえらそうに主張するのはいかがなものかと思う気持ちもわりとある。どうせあんたのはほとんどが限りなく透明に近いパクリ、みたいなもんですよね、といわれればそれもそうだし。おいおれ、何様のつもり?って感じよね。だが、何様かと問われれば、おれは俺様のつもりなのだ。そうはいってもおれはこの仕事を好き好んで選んでやっているわけで、自分を俺様と思い、俺様の著作物を少しは誇りに思わないとやってられないわけで。著作権を譲渡させるこの条項には、そのへんをじくじくと刺激する暗黒面のフォースが潜んでいる。この条項を設けた法務担当者はそんなことには1ミクロンも気づいていないだろう。
 しかし俺様は最終的にはホイホイと捺印して契約書を投函するだろう。負け犬たちのララバイ。