勝ったけどほろ苦い神戸戦

 当初の予定では、土曜に味スタ、日曜にフットサルに行けるものだと思っていた。おれの予定に関するメールを妻が覗いていて軽く嫌味を言われていたので、妻も了承済みだと思っていた。のだが、土曜になってそれが幻だったことが発覚。一気に関係が冷え込み、妻が家出っぽく出ていってしまったのだった。しょうがないのでフットサルを諦めることにしたが、だったら予定を知った時点で言ってくれよ、とどうも損をしている気がしたので、息子を味スタに誘ってみたら、意外なことに行くと言い出したので、急きょ二人で味スタに行った。土曜日は近所の盆踊りで息子はそれを楽しみにしていた感じだったのだが、そのときは忘れていたみたいだったが、おれはもちろんわかっていたが、息子に言わなかった。そんなスクランブル状態だったのでソシオデーであることを思い出すのが遅れ、選手の出迎えには全然間に合わなかったが、息子の手を握ってうたうユルネバは格別だった。なんとなく気合いが強まり、ユルネバだけでのどが潰れてしまうていたらく。最初のうちは息子もモニワコールとかやってくれて内心ほくそえんでいたのだが、こどもの集中力はやはり20分も持たなかった。途中からおしっこだのうんこだの腹へっただのブーたれ始めて、おれもイライラし始めて、ちょっと放置気味にしちゃったら、めそめそ泣かれてしまって。息子の小さな頭の中で盆踊りの亡霊がどんどん大きくなって、すごいうらめしい顔でにらまれて。このおやじはおれをだまして味スタにつれてきたんだ、ということを如実に認識してしまったみたいだった。それはおれにとっても大失態だった。息子の中でのFC東京のイメージを著しく落としてしまっただろう。おれのバカ。それでもむりやり最後までいて、勝利の余韻を味わうひまもなく、修了と同時に走って帰った。うしろめたかったのでコンビニでポケモンのお菓子を買ってやったら、なんてことはなく機嫌は直って、盆踊りのことも言わなくなった。そしてぼそっと息子が「今日、勝ってよかったね」と言った。おやじのしょぼくれムードを自分なりに察知して気をつかったのだろうと思う。四歳児に気をつかわせてすまん。父は反省した。おれは反省人間ジローだ。